index / about / ARTIST / TIME TABLE / LOG / EXTRA / SPECIAL THANKS / MAIL
高校2年の冬休みに、郵便配達のバイトをしていた。 郵便局の自転車のカゴに溢れんばかりの郵便物を詰め込み、決まった経路で配達地区を回る。 そんなことを、毎日続けた2週間だった。

会社からの手紙、パチンコ屋のダイレクトメール、バンドのファンクラブの会報、クリスマスカード、年賀状。

様々な手紙をポストに入れる日々。 住所は合っているのに表札と宛名が一致しない手紙があると、「あぁ、同棲でもしてるのかな」なんて思ったし、通信制高校からの手紙を毎日のように入れたポストがある家には、「課題をがんばってるんだろうなー」なんて思ったりした。 そんな風に、郵便物から届け先に住んでいる人たちの生活が垣間見えてくるのがおもしろかった。

インターネットの普及で、この先郵便物はどんどん減っていくだろう。 携帯のメールで、一瞬で相手にメッセージを送り届けられる現在の社会。 一瞬で届く故に、返事がすぐに来ないと不安になったりもする。 人間同士の意志の伝達速度は、早くなればなるほど良いということではないのかもしれない。

元旦の日、あなたのもとへ届く年賀状は誰からなのだろうか? あなたがこれまで生きてきた中で出会った人が、あなた宛に書いた手紙。 有限である人間の一生の時間の一部を、その人はあなたにメッセージを送るために使ったのだ。 それは、本当に嬉しいことなのだと思う。送信ボタンひとつで瞬間的に届くメールではなく、書いたりポストに入れたりと手間がかかる手紙という媒体を選んでくれたのだから。 そう考えると、年賀状という風習はこのメールの時代においてはより重要性が増したのかもしれない。 今から、昔親しかったあの人に年賀状を書いてみるのも、有意義な年末の過ごし方ではないでしょうか。

ようやく配り終えて郵便局へと帰りながら、人と人を繋げる手伝いができたような気がして、時給以上の満足感を得ていた高校2年の冬休み。 寒空の下を大きなカゴ付き自転車で走ったあの日々は、悪くなかったなと今でも確かに思える。

Copyright © 2005 中村. All Rights Reserved.
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送