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僕は杉村。高校2年だ。

僕は市立北高校に所属している。


僕が北高校に入った理由は、部活動が強いからだ。

バトミントン部には時速300kmのスマッシュを撃つ選手が居たり、

剣道部にはタイムスリップしてきた実戦経験有りの侍が居たり、

ラグビー部は全員ガノンドロフだったりと、大変いい成績を残している。


そんな北高校で、僕は何を思ったのか、

下山部という謎の部活に所属している。


下山部とは何か?

そもそも下山と言うスポーツはなんなのか?


この本を見て欲しい。

「現代の微妙なスポーツ大全」(ボルボクス=ビミョウン氏著)の114ページ、

「教室で軍手野球」の次の項に載っている。

それにはこう記されている。


ビミョウン氏はこう語る。

「えー?なぬ?下山?山下りるんじゃねぇの?え? やちょっとまって俺今ちょウイイレで忙しいからさぁ…エイトだけど。 うん。エイト。モロッコでイングランドに勝てないんだよ! く…このジェラードがぁ!あっさりボール奪ってんじゃねぇよ! 俺今ナイン欲しいんだよねぇ〜。あのなんかナインも新しいの出たじゃん? アレが欲しいのさ。アジアカップとかね、ちょっと今金無いんだって。 この前はしゃいでファブリーズ5本買っちゃったからさぁ〜。 いやマジ金ちょうだえ?なに?もうページ終わり?下山?知るか!」


―――1740年頃、フランスのマソー・アソトワネット王妃が

「登りたくないなら下りればいいじゃない」と言い、

近くの山に馬で頂上まで駆け上がり、

誰が最も美しく下山できるか競ったことが始まりとされている。

現代では、登山者に担いでもらうか、ヘリで頂上まで行き

下山するまでにどれだけの演技ができるかが競われる。

技としては、喜多嶋康介選手が得意とする「ドメスティック平泳ぎ」や、

金メダリスト・故アーノノレド・ツュワノレシェネッガー氏が得意とした、

「空中州知事チョップ」等が挙げられる。―――


我が北高下山部には3人が所属している。

部長である僕と、

部室でエロ本を読んでいるのを女子部員に見つかり登山部を退部させられたV田君、

そして自称交換留学生のダニエル=トミセカケテ=ダニエル君。


V田君は、退部させられた事が相当ショックだったのか、

「僕らはみな死に絶えるべきなんだ。地球の為に。」

「そもそも生きている意味なんて何かあるかい?」

「大コスモ。ソレハ未知ナルセカーイ。」

などと、いつも掃除用具箱の横に体育座りをして何かをつぶやいている。


ダニエルはある日突然部室に現れた。

「ドーモ、アメリカカラキマシタダニエルdeath、ミナサンヨロシクオネガス。」

ダニエルは交換留学生と言うが、ウチの学校から転校した生徒は一人も居ない。

しかも顔が明らかにアジア系だ。


「ニポンキタラ、オカネイパイカセゲルトオモタ。」

「コレ、マホウノハッパ。ソダテテウッタラ、オカネイパイモラエル。デモミツカタラダメ。」

「パスポート?ゼッタイアル。ナクシタケド、ドコカニアル。」


言ってることはよくわからなかったが、

とりあえず、入部したいと猛烈アタックを受けたので入れてあげることにした。




6月。地区大会の時期だ。

といっても地区には下山部は2校しかない。


その高校とは、付属第三高校である。

北高校と付属第三高校はどんな種目でも激しい争いをしている。

アーチェリーでは両校とも審判を蜂の巣にしたり、

ラグビーでは全員ガノンドロフの北高とビンを持った付属三高の選手が光の玉を弾き合ったり、

サッカーでは多くの選手が審判にマルセイユルーレットを繰り返し17人が退場するなど、

史上稀に見る接戦を見せている。


しかも今年の第三高校は下山部に力を入れており、

部員全員に高校から肩たたき券(10枚つづり)が支給されるなど、

本気で勝ちを目指しているらしい。


そんなことを聞いてしまったらこうしては居られない。

みんなでスキルアップに全力を注ぐ。


しかし…

やはりスキルアップさせるだけでは無理だ。

こうなったら新必殺技を完成させるしかない…


今僕達が習得している技は、

「フライング・ディープ・ランゲージ(ホワイトバージョン)」と、

「ネグリジェりんごナックル」の2種類のみである。

去年、先輩方が決めていた最高必殺技「新世紀日本むかしばなし」は、

難易度が非常に高い為、僕達には不可能であった。


新必殺技を編み出すしかない…

ところで僕らは今まで何をやってたんだろう…


その決意の元臨んだ数学。

僕式完全発想術、俗に言う居眠りで脳内に浮かんだものが、

数学担当先生の雷ですべてが1つにまとまった。


ダイナミックかつエキゾチック…そのうえプラスチック…

その名も…


「木村カエラ式テトラポット土下座」


今年はコレで勝負を懸けに行く。

大会はいよいよ明日。




当日の朝を迎えた。

大会の会場へ。


会場に着き、ヘリに乗って山の頂上へ。

なにやらダニエルが騒いでいる。

「ダニエルコンナノミタコトナイ。ベトナム、コンナノリモノナカタ。」

アジアンな雰囲気の国の名前が聞こえたような気がしたが、ナチュラルに流す事にした。


頂上へ到着。

いよいよ試合だ。


試合前に円陣を組む。

「V田君、大丈夫?」

「チョモランマ」

「ダニエル大丈夫?」

「ダニエル、ミドリノキノコタベテ、ワンナップシタカラ、ダイジョウブ。」

「よし!じゃ行くぞ!北中下山部ファイトー!」

掛け声『ぬぃー!!』


さあ試合だ!

2年間の成果を出し切るときが来た!


「位置について!よーい…」

スター・・・


「警察だ!そこを動くな!」


謎の国家権力登場。

「え!?ど…どうしたんすか?」

「ここにダニエルと名乗る人物は居ないか?」

「ハーイ。ダニエルデース。」

「お前がダニエルだな。不法入国及び大麻取締法違反で逮捕する!」

「タイマッテナニ!?ジジョウチョウシュッテナニ!? パスポートモテルヨ!ドッカニアルヨ!」


ダニエルは警察のヘリで連行された。


試合前のまさかのレッドカードに唖然とする僕達。

しかし落ち込んでばかりはいられない!

この日のために貴重な数学の時間(の睡眠時間)を削って考えてきたんだ!

ダニエル!お前のかたきは俺が取るっ!

キャラが変わってきたのは気合いのせいっ!!


「では気を取り直し…よーい…」

スタート!


ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

くらえぇぇぇぇぇ!!

なんのぉぉっ!!

いくぜぇぇぇ!滝川クリステル式電気ポット餃子っっっ!

あれぇぇぇぇ!?なんか違うぅぅぅぅ?

この野郎ぉぉぉ!!

ちょえええ・・・・ええ・・

くろ・・・・・・ぉぉ・・・・

・・・・・・・・・・






・・・・・・俺たちの夏が終わった。

俺たちはダニエルが抜けた穴を塞ぎきれず、おしくも敗退してしまった。

僕たちが引退したあと、下山部は登山部に吸収合併され 「下山専用登山部」として活動しているらしい。


あれから5年が経った。

あれ以来V田君と会う事はない。

ダニエルとは、あの日の夜のニュースでよく似たベトナム人犯罪者が出ていたが、

名前が違ったので気のせいだと思う事にした。


みんな・・・今どこで何してんのかな…

と、たまに思う事がある。

変な思い出ばかりだったなぁ…

うん…




僕は、下山部が存在していた事を気のせいだと思う事にした。


とても長文になってしまい、すいませんでした。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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