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去年の年末を思い起こしてみると、年末っていうのは時間の流れが尋常じゃなく早いことに気がついてしまったので、今年、つまり21歳の年末はいかに有意義に過ごそうかと考えていたのだけれど、有意義も何も「パチンコ」「昼寝」「ゲーセン」というバミューダトライアングルをも凌ぐ魔の三角地帯としか言い様のない選択肢しかないことに気づくまでにそう時間はかからなかった。いや昼寝など生温いことなどではなく、いっそこのまま永眠してしまおうかと幾度となく思ったことかは、やはりその選択肢の少なさ故と言えるのかもしれない。21歳にもなってこんな生活をしている僕は確実に人間として最底辺に場所をウロウロしているクズであることには間違いないのだが、どうしてもこれが納得いかない。もう少し幸せであっても良いはずではないだろうか。
幸せってのは誰もに降ってくる平等なものであっていいはずだ。
朝起きて、時計を見れば昼の12時ピッタリを差している短針と長針をへし折ってしまおうかと真剣に考えた後には、何でこんなに寝ちゃったんだろう・・・・と窓を開け空を眺めながら涙することが最近では多くなった。
でも【いいとも】が始まってしまうからそれどころではなく、何となしにいいともを見ては部屋に帰還しパチンコへ行く準備をしたりして・・・これは明らかに自分が悪い。幸せになる気が微塵も感じられない。幸せになる気がなさすぎる。



でも僕も一応大学生という肩書きがある以上、幸せとはいかないまでも、もう少し学生生活を堪能しきっていなければならないなと常々思うんです。
そろそろ世間の学生達は年末年始に向けて彼女を作り始める時期でもある。
年末だからデート。初詣でデート。
「たっくんは、何をお願いしたの?」
「え・・・いや、いいじゃん!別に!」
「えー教えてよー!」
「愛美こそ何をお願いしたんだよ!」
「えへへ!秘密!」
「じゃあ、せーので言おうぜ!」
「せーの!」
「ずっと一緒にいられますように!」
「ずっと一緒にいられますように!」
年末はこれに憧れる猛者達の準備期間であるのだ。
だがこんなカップルは急逝を希望する。
しかし世間で言う21歳っていうのはもっと輝いていて楽しそうに見えてしまう。
「お前、今日の合コン行くん?」
「いや、今日はパスかな。なんかハズレっぽいし(笑)」
「だよなあ(笑)やっぱり止めておくわ」
「断るのもアレだから、適当に誰かに回しちゃえよ」
「そうだな。健治にでも押し付けるか(笑)」
「それいいな、健治の奴きっとビックリするぞ(笑)」
僕はその健治の残飯処理のようなポジションにも劣る所に位置しているような気がしてならない。



若干僕の脳内の学生達に対しての愚痴になってしまいましたが、僕はこの年末年始という時期が大嫌いです。
空気が急ぎ過ぎてていて、どうも周りの雰囲気がピリピリしています。
年末年始だから何故か皆が色々忙しそうに街を歩いていて、表情なんかはイライラに満ちているもんです。
僕はそんな年末年始が大嫌いです。しかし、ここまで頑なに年末年始が嫌いというのにはもう1つ理由があります。
あれは中学三年生の年末のことでした。



受験も佳境に差し掛かり、僕は一生懸命勉強に明け暮れる毎日で、塾の方針かなんかで強制的に8時間くらい塾に監禁され向かい合うのは白い紙いっぱいの英文だとかで、もはやこの塾は僕の生命を絶つ気なのかもしれないと苦んでいた。
これが若い綺麗な先生とかであれば、僕のやる気もヤル気も上がるってもんですが、現実に待っていたのは小汚い太ったヒステリックなババアしかいなかったのだ。これではモチベーションなど上がるはずもない。
しかしそこで一筋の光で僕を照らしてくれたのは当時同じクラスであった江口さんだった。
江口さんはとびきりの美人というわけでなく、言うなれば普通の人であったが、勿論僕のような乞食には身に余る程の人であった。僕は江口さんとそれなりに親しく、たまにメールをする仲。僕が散々学校で塾のことなどを愚痴っていたのが原因であるのか、江口さんが毎日僕にメールをくれていた。
それがまた小憎らしいくらいにかわいい。
【勉強がんばってね!(^0^)】
というメールを塾の休憩中に見ようものならやる気だって出てくる。
それこそやる気もヤル気も出るってもんですし、僕は正直幾度となく江口さんのメールに救われていた。



僕は次第にそんな江口さんの優しさに惹かれていき、もうこれは告白をしようと決意を固めた。
しかし僕ら受験生に恋などは許されないのだった。というか、恋をする暇もないくらいに勉強が恋人であった。告白しようにも時間がない。電話する時間もない。メールならしようと思えば出来るけど、いかんせん味気ない。
年明けに初詣とか誘って冒頭のカップルのようなことをしようと思ったけど、1月1日:塾という鬼も真っ青なくらいのスケジュール。これはもうどうしようもないのかと諦めかけたが、ある閃きが僕の頭の中を駆け巡った。
この時期に告白をする上で一番利用出来るものがあるではないか。
そう思い、僕は塾の帰りにコンビニへ寄って年賀状を買ってきたのだった。



そう、年賀状ならサラリと告白出来る。そう思った。
例えばこう書けばいい。
「明けましておめでとうございます。好きです」
物凄い自然です。好きですっていうのが物凄い溶け込んでます。
これは使える!そう思って早速書き始めるんだけど、なかなか良い感じの台詞がない。
【明けましておめでとうございます!ずっと好きでした!】
なんていうのはありきたりではっきり言って心をグッと掴むには弱すぎる。
かと言って
【明けましておめでとう!君の股も開けましておめでとう!】
なんていうのも考えたけど、きっと年賀状持って交番に駆け込まれること間違いなし。
というか、後者は告白でもなんでもないただの変態なので当然却下。



とりあえずありきたりでも何でも告白出来ればよしということで
【明けましておめでとうございます。これを機会に気持ちを伝えます。好きでした】
うん、これならまあまあ自然。ちょっと気持ち悪い人だけどそれ以外は多分平気。
自分で買ってきた年賀状だけでは足らず、親の年賀状をコソコソ使ってたのがバレて塾の勉強なんぞ比じゃないくらい死ぬ程怒られましたが、これでラブレターならず【ラブ年賀状】は完成したのでした。



そして元旦になり、当然僕は塾へ行き、勉強中もそろそろ届いてるかな・・・?なんてソワソワしながら小汚いババアに集中しろと怒られていました。
基本的にこの恋だけは心底自信みたいなものがあり、年賀状で告白なんて何てドラマティック・・・!とか思われてるかもしれんと本気で考えていた僕としては、早く返事が来ないものか。早く返事を持って参れ!と元旦から落ち着きのなさを発揮していました。
しかし、待てど暮らせど返事は来ません。それ所か友人とかからの年賀状すら来ません。どうなってるんだ。友人から来ないのはまあ仕方がないとしても、江口さんから返事の年賀状が来ないのは何かおかしい。徐々にそう思い始めたのです。
仕方ない、ここは本人に確認をとろうということで、1月2日に【年賀状行った?】とメールを送りました。
そもそも年末に年賀状書くからねーと言っていたので、僕から年賀状が来ることはわかっていたはずです。
しかしその返事が来ないというのはおかしい。
いやまあ、もしかしたら照れちゃって返事とか書こうとすると、嬉しさの余り手が震えて返事が書けないという、所謂【恋の病】にかかってるかもしれません。参ったなあー!早く返事くれよー!
しかしメールの返事も返って来ず、1月3日を迎えたのでした。



「アンタに年賀状来てるわよー」
母親のこの発言で、僕は即座に目を覚まし、リビングへ行き年賀状を漁ったのです。
やっと友人からいくつか年賀状が届き、ボーっと見ていると、一番下には江口さんからの年賀状が。
そして徐々に僕の心音が高鳴って行くのがわかりました。
返事はYESかNOか・・・・!!!!



【明けましておめでとうございます。ごめんなさい



わかってた。あれでしょ?英語で言う所のNOでしょ?
「kill you!!」
「OH!!NOーーーー!!!」
っていうNOでしょ?こっちがkillだよ馬鹿。
でも、あれね。ごめんなさいの所だけカラフルにピンクとか使わなくていいから。
そこだけ色を変える意味がわからんのよ。
明けましておめでとうございますまでは明らかにシャーペンかなんかで書いてあるのに、ごめんなさいだけピンクですよ。
全然ピンクで書いて言うようなことじゃないだろ。



見事にラブ年賀状作戦は大失敗の大敗を喫してしまった。
しかし【明けましておめでとうございます。ごめんなさい】っていう年賀状を貰ったのはおそらく世界中で僕だけです。
この出来事は昨日のことのように覚えていて、年末になるとそう言えば今くらいにラブ年賀状書き始めたっけなって思い出します。しかしこういったことが今の自分を形成していることを忘れていけないのかもしれません。
毎年年末年始を迎える度に、様々なことが積み重なってそして己を形成していくこと。
そして来年の年末年始こそは幸せに迎えられるようにしたいと思います。
来年からは生まれ変わりそして、僕も一人前の21歳になれるように。
どうか皆様も幸せな年末年始をお過ごしください。
とりあえず元旦からパチンコ屋のイベントがあるので行こうと思います。
終わり。(人生が)

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